「安定しているので公務員を目指しました」はなぜダメか?

2015年06月19日 18:13

 面接試験を受ける際、「安定している」「福利厚生が充実している」「ワークライフバランスを大切にしたい」というのを心の中に「本音」として持っているのはOKだし、面接官でさえも、そのような動機で入庁しているケースも多々あるでしょう。
 
 ただこれらを、面接の場で表現するのは望ましいとは思えません。なぜでしょうか?

 ちょっと、想像してくださいね。仮に、スポーツ紙のインタビューで、

イチロー「野球をはじめたのは高収入だからですね」
田中「ヤンキース?お金で決めました。あとシーズンオフには長い旅行もしたいからです」
本田「サッカーやっている理由?何億ももらえば女にモテるからですよ」

 という発言があれば、引きませんか?笑 野球やサッカーについて思っていた夢を語ってよー、と。

 業務説明会では「待遇」「福利厚生」などについて人事担当者がお話になるのは、当たり前ですよ。ちょっとでも優秀な人材を獲得するのが目的ですから。しかし受験者である皆さんがそこを志望動機として語るのは「引いて」しまうと思います。
 人事担当者にとっては、受験者の皆さんは「初対面」。初対面の人がいきなり「待遇」的なことを志望動機として語り始めたら、ちょっと、、、

 あと、志望動機で「安定」を出すのが×なのは、
①社会的・歴史的無知をさらけだす
ご存知のように、公務員の仕事が安定しているのは「法律」があるから。その法律が改正されれば、すぐに不安定になります。昔は公務員だったのに、すでに民間人になっている「郵便局職員」、昔は公務員だったのに、今は「公務員」としての身分保障がなく、場合によっては潰されかねない「大学法人職員」、昔は公務員(社会保険庁職員)だったのに、今は「日本年金機構職員(非公務員)」のような例を見れば明らかだし、戦時中は普通に公務員もリストラされていますよ。しかも「じゃあ、安定してなかったら公務員じゃないの?」という質問に答えられなくなりますね。結局は「安定していないとしても、なぜ公務員を目指すのか?」を考えなければなりません。
②仕事を頑張りそうに思われない
面接は面接官と「初対面」。初対面の人が「待遇」や「休み」の話を前面に持ってくるのは、相手は引いてしまうでしょう。面接は「同僚」を探す試験。一生懸命、同じ志で頑張ってくれる人を探しているわけです。
③「志望動機」をわかっていない
「安定している」「福利厚生が充実している」という誰もが思っていることを口に出して、面接官から評価されるでしょうか?そんな言いぶりで個性を出せますか?面接では「志望動機」も含めて全てが自己PRなんです。内容、話し方、服装、髪型・・・全部です。志望動機は、自分なりに築き上げた職業観、一生をかけてもよいと思えた公務員のやりがい、追究してみたい関心のある分野・政策の調査能力、プランの独創性、それらを話すことが志望動機であり、その「志望動機」を通して自己PRするんです。

「安定」「福利厚生」は×
「ワークライフバランス」は△(あくまで、趣味を頑張ることで、仕事にも好影響、というスタンスで)
「安定」のひとつのバリエーションとして「一生働きたい」は△(男性は×、女性は一生働きにくい民間企業も多いので使えなくはないです)

 面接試験に<正解>はありません。今まで書いてきたのは、あくまで私の考えです。各官庁の人事の方は違う感想を持っているかもしれないし、人事の方でも人それぞれでしょう。私の考えに賛同できなければ、もちろん「安定しているから公務員を目指しています」と志望動機の使うのを止めません。皆さんひとり一人の人生の戦略は皆さんひとり一人が決めるべきもので、予備校講師ごときの意見を最終的に採用などしなくてもよいのですから(※ただし、本番の面接で面接官から「安定しているというのも公務員の魅力でしょ?」と聞かれた場合、そう思っているなら「それも公務員を目指している理由の一つです」と答えて、もちろん構いません)。

 志望動機は、「公務員の仕事がどうしてもやりたい!」「もう、その仕事がしたくて、したくて震える」というような、本質に踏み込む直球勝負で行きましょう☆☆☆

LEC東京リーガルマインド札幌本校公務員情報センター
総合プロデューサー/専任講師 小堀 学


最新記事